塾長の想い　その１２

2019/07/19

フリートークでは伸びない

私が若かったころに講師として働いていた大手英会話教室のE〇〇には、
ソファの備わったロビーがあり、
そこにネイティブの先生、邦人の先生、早めに来た生徒たちが座っていて、
たわいもない雑談をする、という文化がありました。
そこで、やった、話せた！楽しい！という思いをした生徒さんらは、
また今度も早めに来て話そう、と思うのでした。

E〇〇の前にはGE〇〇で働いていて、そこでE〇〇のロビートークについて
話題になったことがあります。
GE〇〇のネイティブの先生とつきあっていた女性が、
レッスンには興味ない、ロビートークだけに行きたいと言っていたのが
妙に記憶に残っています。

なぜ記憶に残っていたかというと、
勉強は嫌だけどフリートークだけやりたいというひとは
案外多いからなのです。

そういう私は、どうやって英会話を習ったかというと、
Substitution Drillとフリートーキングのみです。
講師はポール・マッカートニーのような顔をした英国人でした。
若かった私は彼に夢中で、ともかく話したい一心で、
一年足らずでけっこう話せるようになったので、

のちにE〇〇やGE〇〇で要求されたような過度な教授技術は
必ずしも必要はないものだと考えています。
特にGE〇〇では研修で大量の絵を描かされましたが、
あんなものはまったく必要ありません。
どこやらの学校では大量のカードを家で作成させられていた英会話講師が
自殺していましたが気の毒極まりないですね。
カードが多いからって英語がうまくなったりしません。
（とはいえ、若いころGE〇〇で大量のカードで学習してためになったよと
言ってらした、英語がぺらっぺらの来塾者さんもいらしたんで、
まるっきり意味なしとも言えませんが）

しかし、勉強もせずにフリートークのみというのは、間違いなく意味なし。
ロビートークは、レッスンがあるからこそ生きるのであって、ロビートークのみに来ていた人はいませんでした、
私も、英国人とドリルとフリートークをやる以外に、アメリカンスクールで一日中英語に浸かって、家では一心不乱に勉強しておりました。

日本の皆さんは、学校でたいへん高度な勉強をするそうなんで、
英会話に勉強はそれほど必要ないこともあるかもしれませんが、
ドリルは有益じゃないかなと思います。

しかし、Substitution Drillは、今はすたれてますね。
あの軍隊式の特訓。E〇〇の生徒たちはあれが大っ嫌いで、
私がoverlapを思い切りきかせて鬼軍曹のようにビシビシやったあとでは
みんなが汗かいてはぁはぁやっておりましたが
あの時代の生徒たちはみな、発音とリズムが徹底的に鍛えられていました。
コミュニケーションを重視するためにあの軍隊式をやめてから
生徒たちの英語からは流暢さ（fluency）が消えた。
（と思ったら、特科というところで、あのメソッドは生き残っていたよう）

Substitution Drillだけを集めた良いテキストがあったらぜひ使いたい。

しかし、フリートークのみは意味なし、と言いましたが、
意味があることもあります。
それは、ある程度しゃべれる場合。
そして、伝えたい何かがある場合。下調べもできている場合。
相手の言うこともしっかり聞くことができる場合。
キャッチボールができる場合。
（先生黙ってて！私の言うことだけ聞いて！とか言わない場合）

そうでない人でもフリートークのみを希望されることがあります。
「認知症予防のために、お願いします」と言われると、
よ…よっしゃ、頑張ろう、となりますが、
でも、ちゃんと勉強したほうが予防になるんじゃないかとも思います。